カテゴリ:私の書いたもの☆( 1 )

23歳の頃に出版させていただいた短編。〜名もない丘の小さな話〜

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少年はいつも、丘の上で壊れかけのトランペットを吹いていた。

空色のシャツを着て。
太陽の光だけに向かって。

ここへ続く丘の、もっと向こうを見つめながら。

瞳に映る全ての景色を両手いっぱい抱えても、駄目になんてならない気がしていた。

音符は風と遊んで、音楽になる、詩(うた)になる。

「未来はいつも輝いている」


丘のふもとに住む人々は、来る日も来る日も少年の奏でる音楽を聴き、笑いあいながらこう言うのが日課だった。

「アイツは酷い音楽家だ」

毎日毎日飽きもせずに壊れかけのトランペットを吹いていた少年が、ある日、少女と出会った。

少女の名前はポリアンナ。

少女は少年の手を引いて「夢を見ましょう」と言った。



ぷっつりと鋏で切ったように、音楽は止んだ。

一日。
一月。
一年。
十年。
二十年。

丘のふもとの人々の積み木のような時間。

やがては人々の記憶から、風の声を真似る酷い音楽家は消えてなくなったも同然になる。

羊を追い、夏を働いて過ごし、雪が降れば家にこもる。

彼らは目の前にあるものを、一つ一つ消化していく暮らしを好んでいた。

必要以上を要求せず。
何よりも機械仕掛けを嫌う。


そんなある日、丘の上から素晴らしい音楽が聞こえてきた。

それは強く巻きついたベールをはいで、人々の心の輪郭をなぞる。

悲しみの琴線にそっと手を添えるようなトランペットの音。

真っ青に澄み切って透明な音色。

人々は、その音楽を部屋いっぱいに染み込ませようと、窓を開け放って、耳を傾ける。

少年のくるった秒針と止まった時計は、再び動き始めた。

そしてその音楽は、風に混ざってこう聞こえたという。

「大人になれば哀しいことなどなくなると思っていた」


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確か、23歳頃だったと思うのですが、とある出版社から発売された、【さよなら】というオムニバス本に掲載いただいた短編です。

今読みかえすと、ホントに稚拙でお恥ずかしいのですが…(笑)。

記録に残しておこうと…。

思いつきのペンネームで書いているので、誰も私とはわからないだろうな。

ペンネームは伏せておきます(笑)。

そんな風に、本当は何をしたいのか隠しておきたかった、屈折した青春時代。

外見は派手でね…。よく、北新地のクラブにスカウトされました(笑)。

今はね、保険のおばちゃんぐらいしか声をかけてくれない。
あと、宗教の勧誘とね。
あ、あと選挙ね。
ひどいな…。


この短編とは別に、学生時代に小さな賞をいただいたショートストーリーの書籍もあったのですが、どこへ行ったのだろう…?

と、当時は本にしていただくことが、それほど凄いことだと思わず、無頓着な私でした。

バチアタリやわ…。

書くことが好きだったので、書いて満足していたんですね。

今はもう、やめちゃいましたけど。

そんな若い自分も、しっかり見つめないとな。。。と、自己満足のブログでした。

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by Maria0815 | 2014-10-19 15:28 | 私の書いたもの☆ | Comments(12)

★上級心理カウンセラー★メンタル心理カウンセラー★チャイルドカウンセラー★家族療法カウンセラーがお届けする、子どものこと。おうちのこと。


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